4月例会報告 『経営理念を浸透させ人財育成にもつながる朝礼とは⁉』

4月度例会

2015年4月15日(水)

講師:山陽製紙株式会社 専務取締役 原田 千秋 氏

「ありがとう経営とは人を差別化する経営なのです」と、
冒頭から原田千秋氏は切り出した。氏曰く、差別化とは人
が明るく元気に育っていく環境、社風づくり。社員が自分で
考え、行動し、提案するポジティブな思考を育てていく経
営なのだ。
広島で生まれ育った原田氏は結婚により創業87年の山
陽製紙株式会社の経営に携わることになる。「企業は生き
物であり、生き残っていくためにはさまざまな危機を乗り越
える必要があるのです」氏の言葉の裏には、山陽製紙が乗
り越えてきた苦難の歴史がある。広島に本社があったとき
は原爆で工場が壊滅状態、大阪に移転後不渡りに巻き込
まれ連鎖倒産。オイルショック、リーマンショックとその社
歴には光だけではなく影も刻み込まれている。原田氏は自
社の50周年記念パーティーで歴史を振り返り、未来ビジョ
ンを描こうとしてはたと立ち止まった。50年先のビジョン
が描けないことに非常に強い危機感を抱く。折しも経営理
念を刷新したばかりだった。経営理念を語ることが、とりも
なおさず自社の将来ビジョンを語ることであると気付き、
理念「私たちは紙創りを通してお客様と喜びを共有し、環
境に配慮した循環型社会に貢献します」を役員、幹部、そ
して社員に浸透させるために奮闘していくことになる。
講演中、ふいに原田氏は会場に問いかけた。「皆さん
は、なぜ経営理念が大切なのだと思われますか?」シンプ
ルでありながら深遠な問いかけに、同じテーブルに座って
いた私たちはグループディスカッションをはじめた。さまざ
まな意見が飛び交う中、原田氏はやわらかく語った。「理念
を浸透させるのは時間がかかるのです。わが社では『理念
と経営』『1 3の徳目』をツールとして使っています。特に
コーチング型朝礼の『13の徳目』の活用は質問を通じて思
考を助け、自分自身で気付き行動できる社員に育てていく
ことができ社内が活性化してきました」早速会場でも『13
の徳目』を使って各グループで模擬朝礼を実施していっ
た。月間テーマの唱和、発表、要約を傾聴していくことで互
いの存在を承認し尊重し、みるみるうちにグループの一体
感が生まれてきたのは圧巻。朝礼とはこんなに意味深いも
のだったのだと身をもって体験した。「毎朝10分の朝礼を
重ねていくと年間43時間になります。これは人財育成に

費やす時間なのです。ここまで育成に時間がかけられるの
は中小企業だからこそ。経営理念、独自性のある技術、
ネットワークの土壌に根ざした企業しか成功のチャンスは
やってこないのです。会社の経営理念を実践していくのは
成長した社員なのです」熱く私たちにエールを送ってくだ
さった。
人財育成の真髄に触れることができた4月例会は、会員
51名オブザーバー88名計139名の出席をいただき熱狂
と興奮が渦巻く中、閉会した。
広報副委員長 村井由香 (㈱キャピタルコーポレーション)

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